はーとだより-16-

 今年は久しぶりに梅雨らしい気候と思っていたら、一気に猛暑日が訪れました。この号がお手元に届く頃には梅雨が明けていることでしょう。気圧の変化と体調には関連があることが知られており、例年になく「何となくしんどい」と訴える方が多いような気がします。湿度が高いだけのときは食欲はまだ比較的保たれています。しかし、気温が上昇し夜中も暑くなり不眠傾向から食欲も低下すると、今度は「何となく」が取れて「しんどい~」となりますので睡眠を十分にとるようにしてください。もちろん熱中症対策にも要注意です。7月に入り全国で熱中症の救急搬送は前年同時期の5倍を超えています。また熱中症の死亡例は何と9割が室内で発生していることが総務省消防庁のデータで明らかになっています。年齢とともに暑さを感じにくくなることから、室温計を設置し気温28度、湿度70%を超えたらエアコンをつけるようにしてください。

 さて、当院の「超変革」第一弾として4月から予約制を開始し3か月余りが経過しました。「待ち時間が少なくなった」「時間がある程度読めるようになった」という声が多く、概ね好評だと受け止めています。新患の方や、体調の悪い方がやむを得ず予約なしで来られた時には少し待ち時間が長くなりますが、それでも1時間以上お待たせすることはほぼなくなりました。ここでは予約制に関する確認事項をQ&A方式で改めて挙げておきます。

Q1. 予約してなかったら診てくれへんの?
A1. もちろんそんなことはありません。予約制の目的はあくまで病状の安定した方をなるべくお待たせしないことであり、しんどい時はどうぞ遠慮なくお越しください。予約がないからといって極端にお待たせすることがないよう、体調等も配慮して順番は臨機応変に対応いたします。余裕があれば来院前にお電話してみてください。

Q2. 予約時間までにきっちり行かんかったら順番は後回しにされる?
A2. 予約枠は30分ごとに設定し、その同じ枠内に数名の方が予約されています。例えば10時の予約の場合は原則的に10時半までに来ていただくよう窓口でご説明しています。しかし、ほとんどの方は時間前に来られており、来院が重なると結果的にお待たせするケースがあり申し訳なく思っています。お渡ししている予約表の表記は予約時間しか書いていないため先日から表記を改めています。ただ、予約時間から30分を超えると順番が遅くなることがあるのでご注意ください。いずれにしても予約時間から30分以内に到着すれば結構ですので慌てずにゆっくりとお越しください。

Q3. 血液検査も予約せなあかんの?
A3. 血液検査は予約不要です。受付で「今日ご飯抜いてきたから血取って(空腹検査が望ましい場合)」と言っていただければそれ程お待たせすることなく採血するようにしています。ただし、エコーなどの検査はこれまで通り診察予約とは別に予約が必要です。  

 前号でお知らせした通り、8月の改装工事に向けて準備を進めています。予想よりも工事期間がかかり、8月11日(木)から21日(日)までお休みをいただくことになりました。「まだきれいのに何で改装すんの?」という声も多く聞かれます。当初の最大の目的は待合室を広げることでしたが、予約制にした結果それ程混むことはなくなりました。それでもゆったりした空間を設けることで、皆様にとって非日常の場であるクリニックにおられる時間を少しでも快適に過ごしていただきたいという思いは変わりません。そのコンセプトにのっとり、他にも靴箱の拡充、玄関の段差による危険を回避する工夫、プライバシーへの一層の配慮、リハビリ室や検査室のレイアウト変更などを盛り込んでいます。また、サプリメントの導入に伴い、展示棚の新たな設置および現在の第二診察室を栄養相談室としても使えるように改装予定です。改装が皆様に喜んでいただけるものになれば幸いです。  

 「超変革」企画のひとつとして7月から待合室でラジオ体操を始めました。いきなり音楽が鳴ってビックリされる方もおられるかもしれません(私もまだ慣れず、音楽の前のオッサンの元気な掛け声に毎回ビックリしています)。ラジオ体操の目的は、少しでも身体を動かすことに慣れて欲しいということです。先日行ったリハビリ部門のアンケートでも筋力向上の必要性を感じていらっしゃる方が非常に多いことが分りました。今後筋力アップのために何かお役に立てることはないか、リハビリスタッフを中心に現在案を練っているところです。何事も最初の一歩を踏み出すまでが億劫なものです。待合室でのラジオ体操が、皆様にとって自ら運動や筋力向上に積極的に取り組む第一歩になってもらえればと願っています。  

 サプリメントについては現在アンケートにご協力いただいており感謝しております。ここ数年、「買い物に行くのが面倒くさい」「料理も面倒くさくなり手の込んだものを作らなく(作れなく)なった」「弁当が多くなった」などという方が増えてきました。その結果生じる栄養バランスの偏りや、必要な栄養素やミネラルの摂取不足が「何となくしんどいけど検査結果はとくに異常がない」ことの原因のひとつではないかと考えるようになりました。現在は基本となる総合ビタミン剤二種類(便秘や下痢など腸の調子が悪い方用とそうでない方用)を置いています。将来は管理栄養士などによる食事相談、指導を行い、まずは日々の食生活の改善を図り、それで足りない部分を個々に応じたサプリメントによって補っていこうと考えています。また、最近「今後認知症に進行する可能性のある物忘れ」である軽度認知障害(MCI)が注目されています。この段階で適切に対応すれば認知症への進行を予防できる可能性があります。対応の一環として、予防効果があるといわれているサプリメントの紹介も考えています。診断も含めた「MCI外来」の開設も検討しています。
 

 先日あるお寺で説法を聞く機会がありました。そこのお坊さんは、「皆さん今はなるほどとうなずいておられますが、家に帰ればほとんど忘れてしまいます。ここのお土産を買って帰れば思い出しますよ」と仰ってましたが、私はお土産を買わなかったのでほとんど忘れました。しかし、その中で一つ心に残るお話がありました(最近は本を読んでも一つ頭に残れば上出来と思うようになり、「ほとんどなんも覚えてへん…」という自己嫌悪から解放されて気が楽になっています)。それは「自分は無理に笑顔にならなくていいから他人を笑顔にさせるように努めましょう」というものでした。早速翌日から、患者さんが笑顔になってもらうように意識して診察を行いました。そこでいくつか気づいたことがあります。
(1)笑顔になってもらうためには相手が何を望んでいるかを理解する必要があること、
(2)そのためには相手の立場になり、心を込めて誠実に向き合う必要があること、
(3)自分が笑顔でないと相手は笑顔にならない、すなわち自分自身に余裕がないと難しい、ということです(お坊さんは、「自分は笑顔でなくてもいいから」と仰ってましたがそこは違うと思いました。
 眼の前の相手が難しい顔をしていれば笑顔なんかにはなれませんよね)。私が稽古をしている合気道の教えの一つに、「相手とぶつからない」というものがあります。一義的には「技は力と力のぶつかりではなく相手の力を利用し吸収する」ということを意味しますが、広く「精神的にも相手とぶつかることなく心穏やかに過ごす」という意味もあるのだと解釈しています。「相手を笑顔にさせる」というのはこの合気道の教えにも通じるものがあると思います。正直うまくいかないことも多々あり、自分の未熟さを思い知らされて落ち込むこともあります。しかし、めげることなく、自分の人生における心の道しるべの一つにしてこれからも励んでいきたいと思う今日この頃です。